マリア様がみてる 特別でないただの一日

(ISBN:4086004844)

 昨夜、一切中断することなく読了しました。最近、ちょっと話の展開がもたついてるという印象を持っていたのですが、今回の学園祭編は、主要人物以外にも多くの人物が登場しており、その人物らしい出来事が大小差はあれど数多く描かれているので、それがお祭りのドタバタ感になっていて非常に楽しむ事ができました。もたついてる感の原因でもあった可南子の一連の話に一区切りついたというのも、楽しめた理由のひとつかも。
 で、今回のメインは1年生の3人だったかなと思います。次の展開への最終準備という事もあってか、瞳子と可南子が話の主軸になっていて新鮮でした。
 最後が後夜祭だったからか、ちょっとイマイチ自分でも理由が分からないのですが、なんとなく「マリみて」らしい「マリみて」だったといか、「マリみて」を読んだ、という満足度が高い話だったような気がします。

 また、アニメを見ていた事で、声や表情、そして動き(特にドリル)がイメージし易くなったというのも、以前と印象が変わった所。これは私自身の変化ですけど。

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 さて、前述したように今回のお話の主軸は1年生だったと思います。祐巳の、そして由乃の妹問題が今後主軸になる訳で、必然なのでしょうけど。

 可南子は、自身が抱える悩みが解決されて、今までの行動はその「悩みがあったが故に」ということになって、印象が変わりそうです。祐巳にあこがれた理由がどうやら中学時代慕っていた先輩に似ていたからというのも、要素としてあったようで、その先輩の代わりにしたかったのでしょうか。だとするならば、その当人とのわだかまりが解けた後、それでも祐巳の妹になることを望むのであれば、そのあたりの祐巳に対する心境を描いてもらえたらと思います。

 瞳子は、愛かわらず祐巳に振り回されるというか、素直でないが故に自分で勝手に振り回されてる様子が相変わらず可愛かったです。自分のクラスの展示を案内すると誘っているのに祐巳に放り出されたあたりから機嫌が悪くなったのか、それとも可南子と一緒に走っていた事が不愉快だったのか、露骨に避けたり背中を向けたり、そんな反抗の仕方がちょっと子供っぽい感じがしますが、それがイイのです。後日短編としてこの時の瞳子の様子が描かれれば、魅力的な話になりそうなんですが。

 乃梨子はすでに主要キャラとして参加しており、また志摩子さんとの馴れ初めでどういう娘か描かれているものの、でも、可南子とのチケットのやり取りに際してみせた行動は、非常に聡いというか、相手のちょっとした躊躇いを感じ取って、自分の都合はスパッと切り捨てることができていたあたりが、非常に好印象でした。他の二人と違って、出番は少なかったですけど、とても印象に残っています。

 2年生ズはと言えば、志摩子さんがいまひとつ出番がなかったような。由乃さんは、藤堂父&志村氏コンビの発言に対するコントが面白かったですけど、祐巳さんのスケジュールを聞かれた際の返答が素敵だった。なんというか、剛球という感じ。ベースよりに立ってインコースを潰した気になってる打者に対して、インハイの胸元をえぐるようなコースをあえて選ぶというか、むしろ当てに行って相手がよけると舌打ちするくらい強気なのが由乃さんのステキな所。と思っているので、このシーンだけでもう満足でした。

 他にも、スポット的にたくさんのキャラクタが出ていました。
 志摩子さんの親父さんと志村氏の登場がいまひとつ意味があったのか分からない感じでしたので、今後短編のネタになるかなぁと期待しています。真美さんが二人(というか志村氏)と遭遇(再開)して取材してたりすると楽しいのですが。

 そして、最後のシーンでとうとう祥子さまが祐巳に対して妹を作るようにと切り出した事で、いよいよ妹問題も佳境を迎えるようです。祐巳があまりに祥子さましか見ていないので、自分が卒業するときの事を考えて、「自分が祐巳にしてやれること」として切り出したのかなぁと思っています。そういう所を含めてどういう展開が待っているのか、次巻が楽しみです。瞳子か、可南子か。しかし、この二人ってそれぞれ乃梨子とは良い関係のようですが、お互いは犬猿の仲という事になっています。祐巳をめぐって直接対決とかあるんでしょうか。いずれにしても楽しみです。